« 公開!マニフェスト検討会議(第1回)「デフレ脱却」 | Main | 公開!マニフェスト検討会議(第2回)「保守主義」 »

April 11, 2010

補足説明 公開!マニフェスト検討会議「デフレ脱却」2

前回のブログ記事「公開!マニフェスト検討会議(第1回)『デフレ脱却』」には何人かの方々からコメントを頂戴し、誠にありがとうございました。またツイッターでのコメントもいただいたのですが、何しろ140文字では十分に回答もできないので、ブログで少し補足説明をしたいと思います。

ネット上のリフレ議論では、「ヘリマネ」、「インタゲ」という略称がよく使われるようです。僕の理解では、いわゆる「リフレ派」と呼ばれる人たちのロジックは以下のようなものです。

1. 中央銀行による政府債務の貨幣化(日銀による国債の買入を増やす)
 ↓↓
2. 「マネタリーベース」(≒日銀の負債)が増加
 ↓↓
3. 将来のインフレ期待
 ↓↓
4. 世の中で流通するお金の総量「マネーストック」が増加
 ↓↓
5. デフレ脱却、インフレへ

「ヘリマネ」とは、ヘリコプターからお金(マネー)をばら撒くように、世の中に流通するお金の総量「マネーストック」を増やすことができるという考え方です。そのロジックが成り立つためには、上記1.から5.のすべてが成り立っていなければなりません。ところが、ネット上での議論でもよく指摘されているように、ボトルネックとなるのが上記3.の将来のインフレ期待をどうやって人々に持ってもらうのか、ということです。

このボトルネックを乗り越えるために、「インタゲ」すなわちインフレーション・ターゲティング(インフレ目標)を政府と日銀で共有すべきだという主張がなされるわけです。

これに対して、僕が前回のブログ記事「公開!マニフェスト検討会議(第1回)『デフレ脱却』」で提示したのは、「リフレ派」のいう「ヘリマネ」や「インタゲ」とはまったく異なるロジックです。

1. 日銀がコントロールできるのは「マネタリーベース」(≒日銀の負債)のみ
 ↓↓
2. デフレ脱却のためには、世の中で流通するお金の総量「マネーストック」そのものを増加させるほかはない
 ↓↓
3. 社会会計上、世の中で流通するお金の総量「マネーストック」を増加させる手段は二つ(これらは平時でも行われている)
 ↓↓
4.一つが、預金金融機関(銀行)の貸出を増加させること、そのためには民間投資を促進する法人税減税や規制緩和が必要(消費が増えても国富を食いつぶすだけ)
 ↓↓
5. もう一つが、中央銀行による政府債務(または純資産)の貨幣化、そして政府支出によってそのマネーを直接市中で流通させる
 ↓↓
6. デフレ脱却、インフレへ

前回のブログ記事で提示したのは、上記3.から5.の政策です。また、上記5.に該当する経済復興基金50-100兆円というのは規模が大きいのですが、中央銀行が引受けるのはあくまでも基金の発行する「出資証券」であり、政府債務ではないというのがミソです。

本来、「マネタリーベース」(≒日銀の負債)と世の中で流通するお金の総量「マネーストック」との間には貨幣乗数という関係があります。しかし、その貨幣乗数自体、安定的なものではありません。例えば2000年代前半に日銀が採用していた量的緩和政策(超過準備ターゲット)では、マネタリーベースを構成する準備預金を増やせば増やすほど貨幣乗数が低下する=世の中で流通するお金の総量「マネーストック」はまったく増えないという関係が見て取れます。

社会会計の分野では、世の中で流通するお金の総量「マネーストック」そのものをどうコントロールするのか、ということが議論の中心となります。そしてその手段は二つ、金融機関の貸出の増加、そして中央銀行による貨幣化を伴う政府支出しかない。それらをどう組み合わせるのかによって、GDP、国富(一国全体の純資産)、マネーストックなどへ波及効果が左右されるのです。

このように、いわゆるリフレ議論とは異なるロジックによる成長戦略を提示したつもりです。確かに、ツイッターのように僅か140文字という制限があるとロジックそのものに何らかのレッテルを貼って「つぶやき」をやり取りするしかないのですが、この補足説明がみなさんのご理解の一助となればとなれば幸いです。

【補足説明】の補足

安定した経済状況であれば、民間活力による投資の促進+銀行貸出の増加という方法によって、世の中で流通するお金の総量「マネーストック」を増やすというのが成長戦略の王道ともいえます。しかし現在の日本経済は、いくら金利を下げても投資が増えない「流動性の罠」に陥っています。そこで、直接、市中にマネーを注入するもう一つの方法、中央銀行による貨幣化を伴う政府支出が必要とされるのです。

なお、日銀が継続的かつ定量的に国債の買切りオペを行うことによって同様の経済効果が生じます。日銀による国債の買切りオペは従来から実施されてきた政策でもあり、これをリフレ政策と呼ぶかどうかは別として、今さらとりたてて目くじらを立てるべきものとは思われません。「流動性の罠」から脱却し、経済を通常軌道に戻すためにも、従来よりも大規模なマネーの市中への直接注入、すなわち中央銀行による貨幣化を伴う政府支出が政策オプションとして検討されるべき時期に来ているのは確かだと思います。

|

« 公開!マニフェスト検討会議(第1回)「デフレ脱却」 | Main | 公開!マニフェスト検討会議(第2回)「保守主義」 »

Comments

4までは同意できます。しかし、仰る通り金が市中に出回らない状態で、日銀が銀行に金を押し込んでも結局同じ事になるのではないでしょうか?
王道、ではなく規制緩和と減税のみが唯一の道かと。
それに無理に出回らせようとすれば、ゆがんだバブルの原因になりかねません。
アメリカの不動産バブルも金利を下げすぎた事が原因の一つですし。

紙幣価値をコントロールして経済をコントロールできるという今の常識を疑うべきだと考えます。
ゆえに、金融政策はあまり声高に唱えて頂きたくない、というのが一党員の思いです。

Posted by: memento | April 11, 2010 at 22:29

 初めましてです。

 非常に丁寧な説明をありがとう御座います(^^

 金融は難しいですが(一応は経済学を専攻)、なんとか理解しようと努力してみます↑

Posted by: 緑の保守派の尊野ジョーイ | April 12, 2010 at 05:39

やはり5は疑問です。

そんな事より実体経済の構造改革だと思います。

例えば農産物。米の価格支持政策によって消費者はどれだけ割高な米を食わされているか。むしろデフレがもっと進むべき産業もあるんではないですか?

デフレよりも財政破綻の方がリスクが高いと思います。

雇用市場改革、公教育改革、国と地方の財政構造改革、公務員制度改革、独法・特殊法人の見直し、FTA推進、年金改悪、所得捕捉率の公平化、税制改革、医療制度改革、あげればきりがないほどありますね。

問題は小政党であるみんなの党がどうやって改革に道筋をつけるのか、ではないでしょうか。

話題をそらすようなコメントになって申し訳ありませんが。。。

Posted by: 故郷求めて | April 13, 2010 at 14:06

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54519/48054477

Listed below are links to weblogs that reference 補足説明 公開!マニフェスト検討会議「デフレ脱却」2:

« 公開!マニフェスト検討会議(第1回)「デフレ脱却」 | Main | 公開!マニフェスト検討会議(第2回)「保守主義」 »