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April 07, 2010

公開!マニフェスト検討会議(第1回)「デフレ脱却」

これから週2回(あくまでも目標)、全10回程度にわたってブログ上で「公開!マニフェスト検討会議」という企画を始めます。読者の皆様との双方向の議論を通じて、僕自身の政策や政治理念をお伝えするとともに、夏の参議院選挙に向けたより良いマニフェスト作りに役立てることができれば・・と考えています。

やや複雑で敬遠されがちな政治経済の問題についても、対談形式でわかりやすく解説を加えていくつもりです。ブログというメディアの特性から専門的な議論と比べると荒っぽいところも多々あろうかとは思いますが、みなさん、遠慮なく奮ってこの議論に参加してみてください。

さて、第1回目のテーマとして「デフレ脱却」という喫緊の課題に焦点を当てたいと思います。ネット上の議論でも「リフレ議論」は何度も繰り返されてきましたし、経済学者の間でも一致した見解がなかなか見出せない分野です。

(桜内) まず、本題の「デフレ脱却」や「成長戦略」の話に入る前に、一国経済全体のお金の流れや資本蓄積を分析するためのツール、「社会会計」というものに触れておきましょう。「社会会計」とは、日本経済という一国のすべてのお金の循環や企業の生産活動、家計の消費などについて複式簿記で記録する手法で、マクロ会計とも呼ばれます。GDPを測定するための国民経済計算体系(SNA: System of National Accounts)というのもその一つです。

(友人A)桜内さんの専門でもある公会計とは関係あるんですか?

(桜内)公会計は政府(中央政府、地方公共団体など)という一つの経済主体を対象とする会計ですが、社会会計は、政府、事業会社、金融機関、家計など、すべての社会部門を含む、一国全体の経済循環を記録する会計といえます。しかし、政府は他の経済主体と比べても非常に規模が大きいので、政府・日銀がどのようなマクロ経済政策(財政・金融政策)を行うかによって一国経済全体への波及効果も大きく異なってくるのです。

(友人B)デフレ脱却のため、日銀の金融政策の一環として日銀券を増刷することによってインフレ目標を達成しようとする、いわゆる「リフレ派」の議論が盛んですね。

(桜内)この20年にもわたる日本経済の低迷を考えると、デフレ脱却が喫緊かつ重要な課題であることは論を待ちません。しかし、デフレから脱却する「手段」として、日銀券を増刷し、ヘリコプター・マネーとしてばら撒くことが可能なのか、そしてその効果として本当にインフレにすることができるのか、という点が問題なのです。僕自身は、政府が「デフレ宣言」をして日銀にさらなる金融緩和の圧力をかけるだけでは、デフレからの脱却は難しいと考えています。

(友人C)みんなの党や桜内さんは「リフレ派」ではないということですか?

(桜内)ひとり日銀だけに責任を負わせることはできないという意味で、いわゆる「リフレ派」とは一線を画しています。日銀にできることは、日銀自体のバランスシートをコントロールすることだけです。日銀のバランスシートでは、負債として日銀券や準備預金などの「マネタリーベース」が計上されますが、この「マネタリーベース」を日銀がコントロールできたとしても、世の中に流通しているお金の総量「マネーストック」をコントロールすることは容易ではありません。むしろ、デフレやインフレといった貨幣現象は、世の中に流通しているお金の総量「マネーストック」によって影響を受けます。だから、日銀の金融政策だけではダメで、政府による財政政策と為替政策が同じベクトルを向いていて初めてデフレからの脱却が可能なのです。

(友人D)では、デフレ脱却のため、世の中に流通しているお金の総量「マネーストック」を増やすにはどうすればいいんですか?

(桜内)それではここで単純な経済循環モデルを使って考えてみましょう。これは今年1月にみんなの党の成長戦略に関する勉強会のために僕が説明資料として作成したものです。なお、PDFファイルでダウンロードもできます。

「100114_capital_growth_model.pdf」をダウンロード

【基礎条件】

  • 一国経済を構成するのは三部門(事業会社、銀行、家計)。
  • ある1年間の経済循環をすべて複式簿記で記録。
  • 複数のシナリオ(国内閉鎖経済、国内消費拡大、国内投資拡大、輸出〔外貨建〕、輸出〔円建〕)によって、一国全体のお金の総量である「マネーストック」、一国全体の資本蓄積である「国富」がどのように変化するかをみる。

(桜内)この経済循環モデルからいくつかの重要な結論が得られます。

【論理的帰結】

  1. 一国全体のお金の総量である「マネーストック」を増加させるためには、銀行からの貸付が増えなければならない。
  2. 国内消費拡大の場合、一時的にGDPは増大しても、一国全体の資本蓄積である「国富」は減少する。
  3. 国内投資拡大の場合、GDPと「国富」が同時に増大する。
  4. 外貨建の輸出(貿易黒字)の場合、一国全体のお金の総量である「マネーストック」は増加せず、むしろ円高によるデフレ傾向となる。
  5. 円建ての輸出(貿易黒字)の場合、GDP、「マネーストック」、「国富」のすべてが増大する。

(友人E)デフレ脱却のため、一国全体のお金の総量である「マネーストック」を増加させるには銀行からの貸付が増えなければならないんですね。

(桜内)そうです。ただ、銀行が貸付をするとしても、現政権のバラマキ政策にみられるように消費拡大のためならば、「国富」を食いつぶすだけです。それよりも、新たな付加価値を生み出すような成長産業への投資こそ、「マネーストック」と「国富」の両方を増やすうえで重要です。従って、法人税減税や投資税額控除制度の導入、そして規制緩和によるイノベーションの促進などが成長戦略の柱になるのです。

(友人F)政府の財政政策はどうあるべきなのですか?

(桜内)本来ならば、デフレ脱却のためには拡張的な財政政策が必要です。しかし現在の日本ほど負債の膨れ上がった政府はありません。そこで、以前、このブログでも試論として問題提起しましたが、負債である国債を発行することなく、拡張的な財政政策を行うための経済復興基金(50-100兆円規模)を設置するのも一つの方法だと考えます。

(友人G)経済循環モデルの論理的帰結として、円の国際化が含まれていますね。

(桜内)この経済循環モデルの論理的帰結として面白いところはまさにそこです。「マネーストック」を増やし、デフレから脱却するためにも、円の国際化を進め、円建の貿易取引を促進すべきだと思います。サブプライムローン問題に端を発する世界金融恐慌によって国際通貨制度が揺らいでいる今こそ、新しい国際ルールを日本から発信していくことが国益にも適うものといえます。

(友人ABCDEFG)公会計や社会会計ってとっつきにくいと思っていたけど、具体的な政策課題に当てはめてみると面白い結論が導かれるんだね。

(桜内)そこですよ。僕が会計にハマった理由は。公会計とは、政府の財政運営の責任を明らかにする仕組みでもあるし、そしてまた社会会計は、マクロ経済政策の波及効果を正確に測定するための有力なツールともいえるでしょう。適正な政府の意思決定を行うため、なくてはならない「武器」だと思います。

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Comments

いわゆるリフレ派とは一線を画していることが理解できました。投資拡大のための規制改革、円建て輸出拡大のための国際ルールの確立は大いに議論していきたいと思います。ただ、どちらも私は実務を知らないので、実務者に各論を潰してもらいたいと思います。

50兆円の政府紙幣についてはよく理解できません。政府を信用していないせいでしょうか(笑)、危ない橋を渡る提案のような気がします。零細企業経営者として、短期の手形を買い取ってもらうのは非常に助かりますが、モラルハザードをどうやって予防するのか、融通手形などによるブラックマネーを助長しないか、監視機能が脆弱なままで行うのは危険な気がします。

事前規制から監視・事後処罰への規制改革にはかなりのエネルギーと時間を要し、国民の意識改革も必要だと思います。特に意識面で、政治家がきちんとしたメッセージを発する必要があろうかと思います。

たとえば、わかりやすい事例として、毒ギョーザ事件の被害者はとても不幸だけど、これを事前規制で防げるのか、そのコストはいくらになるのか、事前規制ではなく事後処罰で対処せざるを得ないのか、それに必要なコストと態勢は、と言った議論を詰めていくべきでしょう。

話がそれましたが、政治家が実務として行うべきなのは行政改革と規制改革であって、安易なリフレ論ではないということは確認しておきたいと思います。足元を固めないで人為インフレ起こすなんて甘えでしか無いと思いますよ。

Posted by: 故郷求めて | April 07, 2010 at 06:56

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